小さなキミと

遊園地、到着






殺人級な太陽光の下、あたしと服部はかろうじて午前中に遊園地にたどり着くことが出来た。


「もう昼じゃねぇかよ!
お前のせいで超タイムロスなんだけど!」


「わりぃ」


そんな調子で少しふざけたあたしに、服部が胡散臭そうな目を向けた。


「本当に悪いと思ってんのかよ……。
お前なんなの最初は真面目に謝るからこっちも許してやろうと思っ」


「ねぇあれヤバくない!?
めっちゃ乗りたい服部早く行こーよ!」


服部を無視してあたしが指差したのは、豪快な急降下が予想されるジェットコースター。


つい今しがた、すぐそばのありえない角度にクネクネとそびえ立つレールの上を、キャーという悲鳴が通り過ぎたところだった。


実はあたし、絶叫系は大好物。


いいなぁいいなぁ!


早く乗りたい早く乗りたい!


「服部行こ行こ!」


「人の話は最後まで聞けよ!」


仏頂面の服部を、あたしは半ば無理やりそのジェットコースターの方へ引っ張って行った。


久々に味わうワクワク感に気分が高揚していた。




『────待ち時間120分』


とりあえずそのジェットコースターは後回しに。


「もしもし圭?
着いたんだけど、お前ら今どこ?」


適当な木陰に入り、あたしの隣では服部が結たちと連絡を取ってくれている。


それにしても。


服部がしっかりしすぎていて怖いんだけど。


振り返ってみれば電車のホームの位置もヤツは完璧に把握してたし、バスの乗り換えの時間だってバッチリだった。


「あー分かった、じゃあそっち行くわ。
暇だったら何か食うモン買っといて」


スマホを耳に当てたまま、服部はあたしの手を取って歩き出す。


こういうのあたし未だに慣れなくて今心臓バックバクなんだけど、服部はいっつも余裕だよなぁ……。


っていうか意外とマジで服部って頼りになるわ。


それに比べてあたしって、今んとこ迷惑しかかけてないよねぇ……


何だか急に自分が情けなくなってきた。

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