小さなキミと
「いっ、今のはたまたまで……」


「たまたま手を繋いでたって? もっとマシな言い訳にしなよ」


結のツッコミはごもっともだけど。


「いや、あの、その……
あ、そうだ! パレード何時からだっけ? ここ位置最高じゃ」


「その手には乗らないっつーの、何年アンタと付き合ってると思ってんの」


結は服部と違って話を変える流れに乗ってはくれなかった。


「いいじゃん照れなくても。初々しくて可愛いよ?」


「う……」


あたしは攻められっぱなしでタジタジだった。


そして服部は、クククと声を殺して笑っていた葉山くんにキレた。


「圭てめぇいい加減笑うのやめろ! あとその顔うぜぇ」


「いや、だってお前面白すぎて」


葉山くんが笑いながら差し出した2つの細長い袋を、服部は礼も言わずにぶん取った。


1つはあたしの分らしく、あたしは服部からそれを受け取った。


その袋からは、何やら薄い生地に肉や野菜が包まれた食べ物がはみ出ていて、とっても美味しそうな匂いがする。


結が荷物を退かして、ギリギリあと2人座れるくらいにレジャーシートの上のスペースを空けてくれた。


「ここ座っていいよ」


お言葉に甘えて結の隣にあたしが座り、その隣に服部が座った。


「にしても結たち、よくこんな良い場所確保できたね」


あたしは単純に感心したことを言ってみた。


ここは位置的にちょうど背後の建物で日陰になっているのだ。


周りは他の客でギュウギュウ詰め状態。


「でしょー? 多分タイミングが良かったんだと思うよ。だってあたしらそんなに長い時間場所取りしてないもんね」


午前中は圭ちゃんと2人でアトラクション乗りまくったよ、と結は言う。

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