小さなキミと





移動時間やアトラクションの待ち時間も相まって、気づけば結たちと別行動を始めてから既に4時間弱も経過していた。


時刻はあっという間に夕方の6時だ。


「そろそろ結たちと合流する?」


あたしの提案に、日焼けのせいか朝と比べて肌が赤くなった服部が頷いた。


「あ、結からLINE来てた。しかも1時間も前だ」


その通知を見て、あたしはしばらくスマホを触っていなかった事を思い出した。


画面をタップしてLINEを表示させてみると。


『リッキーいた!!!!』というメッセージと共に、写真が添付されていた。


写真中央には、全身を赤い毛でおおわれた大きなウサギのキャラクター、リッキーの姿があった。


リッキーの両脇に、満面の笑みでピースサインする結と、やや硬い笑顔の葉山くんが居た。


「ねぇ見て服部! 結たちリッキーと写真撮ってるよ」


あたしがスマホを見せると、途端に服部はニヤニヤし出した。


「圭、顔青くね?」と服部が言うので、あたしはもう一度写真に目をやった。


確かに……心なしか、葉山くんは顔が青いようにも見える。


そうか、きっと結に強行されてジェットコースターに付き合わされたに違いない。


葉山くん可哀想に……。


でも結には逆らえないよね、分かるよ、うん。


「結は強引なとこあるからなぁー」


あたしは葉山くんに同情して苦笑いになり、服部は「ざまぁ」と悪い顔で嘲(あざけ)った。


相変わらず服部は、葉山くんへの態度がぞんざいである。

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