小さなキミと
「うーーーん。でもあたしの事だから、土日があるからいーやって思ってどうせ今日やんないと思うんだよなぁ」


「だろうね。お前、家に付いた瞬間課題の存在自体を忘れそうだもんな」


あたしは服部をギロリと睨む。


「あれ? あたしの事可愛くて可愛くて仕方ないって言って、抱き付いてきたのは誰でしたっけ~?」


たちまち服部の眉間にシワが寄った。


「オレの事が大好きすぎて死にそうって言ったのは誰だっけ?」


「は!? 何それあたし言ってないよ死にそうとか!」


思わぬ反撃が来てたじろぐあたしに、「オレだって言ってねぇよ」と服部が容赦なく言葉を続けた。


「……服部、ナマイキ。あの後キスしてきたくせに」


「うるっせぇな! 剛だってもう一回とか言ったじゃねぇかよ!」


「もーーーー!
恥ずかしい事言わないでよーーーー!」


「剛が言い出したんだろ!」


確かに服部の言う通り、この話の運びは完全にあたしのせいだった。


分(ぶ)が悪いので、無理やり話を戻すことに。


「じゃなくて、課題どーするかって話だよ!」


「あーハイハイ、そーでした」


服部も返事がテキトーだ。


「図書館って、何時から開いてんの?」


「たしか10時」


「え! 意外と遅くない?」


「そんなモンだろ」


あたしは普段あまり図書館を利用しないので、そんなモンと言われてもよく分からない。


明日とあさっての朝10時から夕方5時まで、時間いっぱい勉強したとして……果たして終わるか?


数Aだけであの量だし……日曜まで徹夜する勢いでやんないと終わんない気がするなぁ。

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