小さなキミと
訊くと、やはりその少年は剛の上の弟だった。


「ハァ!? アイツあれでまだ中1!?
オレより全然背ぇ高いのに!?」


「服部より背が高い中1なんて珍しくないでしょ」


「うるせぇな!」


「ちなみにもう1人の弟も下に居たけど分かった?
多分奥で皿洗いしてたと思うんだけど」


剛に言われてオレは記憶をたどってみる。


皿洗いしてた……、ってまさか。


「上が中1って事は……アイツ小学生!?
フツーにバイトの高校生かと思ったんだけど!」


本当にこの家族の遺伝子はどうなっているんだろう。


姉弟3人が3人とも、大柄な父親の方に似るなんて。


「高校生て……リクはまだ小4だよ」


「嘘だろ!?」


オレは気が遠くなりそうだった。







そしてお喋りはそこそこに、剛が用意した折り畳みローテーブルで課題を始めてから1時間程が経過した。


────やっぱりオレ、コイツの家に来たのは失敗だったかもしれない……。


正直な話、勉強以外の事を一切考えないなんて無理だった。


ヤヤコシイ計算で頭がいっぱいになっている間はいいんだけど、区切りがついた時とか他事を考える余裕が出来てしまった時はヤバい。


何がヤバいって────とにかくヤバいとしか言えない。


つーか、こんな狭い部屋で好きな女と2人にされたら色々考えるだろ普通! 男なら!


心の中で不満を叫ぶけど、言い出したのは自分なので誰のせいにもできなかった。

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