小さなキミと
「でも服部寝てるからさ、家までの道を説明できないと思うんだけど」
酔いつぶれた服部に正常な会話は期待できない。
すると母は、当たり前のように言った。
「アンタが代わりに説明するに決まってんじゃないの」
「ちょっと待って。何であたしが服部の家知ってる前提なの」
「えっ、知らないの? 何回も泊りに行ってたくせに知らないの?」
────何を言ってんだこのババアは。
「誤解を招くこと言わないでよ!
こないだ泊りに行ったのはバレー部の子の家!
その前は結んちだし、その前は……日向! 日向の家だから!」
葉山くんの家に泊まった時の事が頭をよぎり、咄嗟(とっさ)に日向の名前を借りた。
実はあたし、葉山くん宅での1泊については両親には内緒にしていたのである。
それでなくても、この暗闇の中をたった1回行っただけの場所に案内出来る自信はあたしには無い。
「あらぁー、そうなの?」
母は意外そうに言った。
「っていうかママ的にそれオッケーなのかよ、親として!」
とはいえあまりにも受け入れが早すぎる母に、たまらずあたしはツッコミを入れる。
「高校生なら普通でしょ」
拍子抜けするほどあっさりした様子で母が言ったので、あたしは逆に怖くなった。
「……ママ、それ本気で言ってんの?」
顔を引きつらせた娘を見て、母が真顔で一言。
「ヒニンはしっかりね」
聞き慣れないその単語が、即座に頭の中で漢字に変換される。
────な、なななな、なに、何を、何を言って!
テンパりすぎて、頭の中ですら言葉がまともに浮かばない。
あたしは開いた口が塞がらなかった。
酔いつぶれた服部に正常な会話は期待できない。
すると母は、当たり前のように言った。
「アンタが代わりに説明するに決まってんじゃないの」
「ちょっと待って。何であたしが服部の家知ってる前提なの」
「えっ、知らないの? 何回も泊りに行ってたくせに知らないの?」
────何を言ってんだこのババアは。
「誤解を招くこと言わないでよ!
こないだ泊りに行ったのはバレー部の子の家!
その前は結んちだし、その前は……日向! 日向の家だから!」
葉山くんの家に泊まった時の事が頭をよぎり、咄嗟(とっさ)に日向の名前を借りた。
実はあたし、葉山くん宅での1泊については両親には内緒にしていたのである。
それでなくても、この暗闇の中をたった1回行っただけの場所に案内出来る自信はあたしには無い。
「あらぁー、そうなの?」
母は意外そうに言った。
「っていうかママ的にそれオッケーなのかよ、親として!」
とはいえあまりにも受け入れが早すぎる母に、たまらずあたしはツッコミを入れる。
「高校生なら普通でしょ」
拍子抜けするほどあっさりした様子で母が言ったので、あたしは逆に怖くなった。
「……ママ、それ本気で言ってんの?」
顔を引きつらせた娘を見て、母が真顔で一言。
「ヒニンはしっかりね」
聞き慣れないその単語が、即座に頭の中で漢字に変換される。
────な、なななな、なに、何を、何を言って!
テンパりすぎて、頭の中ですら言葉がまともに浮かばない。
あたしは開いた口が塞がらなかった。