小さなキミと
分かりやすく不機嫌な顔で2階から降りて来た凛太朗は、ずかずかとあたしの元へやって来て、

「今週のジャンプ」

いきなりそんな事を言った。


「え? っていうか運んでくれてあり」


「モンスターカードの5枚入りパックとハーゲンダッツとジャガチップスの焼肉味とサッポロの────」


あたしのお礼を遮ってまで、次から次へと商品名(おもにスナック菓子)を挙げていく凛太朗。


まさか……あたしにそれを全部買わせる気?


まぁそりゃ確かに、何かを奢るとは言ったけど……限度ってモンがあるでしょ。


「アホか! 1個に絞れ!」


いつの間にか抜かされた大きな身長の割に、子どもらしい物ばかりを欲しがる凛太朗だった。







────よしっ。やっと数Aの1章分終わった……けど、まだ全然残ってんだよなぁ……。数Ⅰなんて未だ手つかずだし。


課題が一区切り付いた頃、時刻は夜11時を大きく過ぎていた。


1階の店はもうじきラストオーダーになる頃だ。


わずかに聞こえる階下の声も、大分小さくなってきた。


と、背後でもぞもぞと動く気配がして振り返る。


「服部……?」


あたしのベッドを占領している客人は、どうやら寝返りを打っただけのようだ。


呼びかけには答えなかった。


「もー、いつまで寝てんのぉー」


やっぱり返事はなかった。


あたしが2階に来てからというもの、服部は一向に起きる気配がない。

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