小さなキミと
部屋に戻ると、服部の体勢が少し変わっていた。


また寝返りを打ったらしい。


服部があたしの部屋で、あたしのベッドで寝てるなんて。


何か、やっぱり変な感じだ。


落ち着かないとかじゃなくって、まぁそれもあるけど何と言うか、不思議な気持ちになる。


あたしは自然と足がベッドへ向かっていた。


閉じたまぶたにかかった、服部の少し長めの前髪をそっと払う。


「……かわいい寝顔」


服部が寝ているのを良い事に、あたしはかなりの至近距離で彼を見つめていた。


「好きだよー、なんつって」


どうせ聞こえてないと分かっていても、やっぱり照れる。


「服部、愛してるよっ」


その瞬間、寝息を立てていたはずの彼が唐突に目を見開いた。


「えッ!?」


あたしは驚きのあまり後ずさりもまともに出来ず、その場でひっくり返って背中を打った。


痛みに無言で悶えつつ、恐る恐る視線を戻すと、服部は再び目を閉じていた。


「なんなんだよ、もう!」


小さく叫んだその時、今度こそ彼のまぶたが確かに動いた。


先ほどとは違ってゆっくりと、焦点の合わない目で数回まばたきを繰り返す。


うわっ、起きた!


絶対コイツ起きちゃった、どうしよう。


あんな事言うんじゃなかったーーーー!


さっきの恥ずかしいセリフを聞かれたか聞かれてないか、あたしの頭はその問題でいっぱいだった。

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