小さなキミと
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入学式から始まった一週間は、本当にあっという間だった。


テストだの、役員決めだの、身体測定だの。

4月は面倒くさいことばっかりだ!


来週には、X線や心電図、歯科内科検診が首をそろえて待っている。


だけど、ひとまず今日を乗り切れば、明日からは土日休みで二連休だ。







この日あたしが学校に到着したのは、朝礼開始の2分前だった。


今朝うちでひともんちゃくあったせいで、家を出るのがかなり遅れてしまったのだ。


「みっちゃんありがと、行ってきますっ」


車を飛び下り、大急ぎで教室に駆け込んだ。


右足の痛みはもうすっかり消えていた。

捻挫といってもごく軽ーいもので、二、三日であっさり治ってくれたのだ。


幸いなことにまだチャイムが鳴る前だったようで、ホッと安堵のため息をついた。


教卓の斜め前、そこに位置するあたしの席には見知った先客がいた。


結だ。


「おはよー」


息を弾ませて近づくと、あたしに気づいた結が立ち上がって席を譲った。


「今日はやけにギリギリじゃん……って、どうした涼香」


あたしを一目見るなり眉をひそめた結は、背伸びしてあたしを覗き込んだ。


「何かさ、顔じゅう引っかき傷だらけなんだけど」


「えぇっ」


結の一言にショックを受けたあたしは、咄嗟に両手で顔を隠す。

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