小さなキミと
先輩に続いて、ドキドキしながら入って行く。


なんなんだ、この立派な玄関ホールは……。


市の総合体育館並みのスケールに、あたしは声も出なかった。


1階は卓球場、柔道場、剣道場、さらにはトレーニングルームまで備わっているらしい。


見慣れない光景にいちいち目を奪われてしまい、何度も壁に激突しそうになった。


2階のアリーナへ到着するまでに、廊下や階段で、他の部活動の生徒たちと沢山すれ違った。


下っ端の1年っぽい生徒がバタバタと荷物を持って走って行ったり、軍団がまとまってミーティングをしていたり。


そんな彼らのそばを通るだけで、意味もなく心が躍った。


すげーーーー!

でっけぇーーーー!


アリーナに足を踏み入れた瞬間、思わず心の中で叫ぶ。


バレーコートが一体いくつ張れるんだろう。


あたしは興奮気味に辺りを見回した。


天井たっかーい!

バルコニー広いっ!

第一と全然違う!


ピカピカの床をキュッキュッと音を立てて歩く。

女子バレー部一同は、壁に沿って1列になり、キビキビと進んだ。


部活の準備に奔走(ほんそう)する生徒たちの、数えきれないほど沢山の足音にあたしたちの足音が重なった。


この空間の一員になれた気がして、何だか嬉しくなった。

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