小さなキミと
ごちゃごちゃと不揃いな形で座った部員たちの中で、立っているのは神田先輩のみ。


ぐるっと周りの部員たちを見やってから、神田先輩は口を開いた。


「じゃー、俺からね。3年、キャプテンの神田 茂男(かんだ しげお)。ポジションはセッター。笠(かさ)中出身、身長は186」


男女合わせて20人ちょっとの部員を前に、さして緊張した様子もなく淡々と語る神田先輩。


さっすがキャプテン、胆(きも)据(す)わってんなぁ。


感心したのもつかの間、次に続く3年男子たちの自己紹介で、あたしは厄介なことに気が付いた。


「……中出身で、身長は179」


「……身長182です」


えぇ、何でみんな身長晒(さら)してるワケ!?


あたしヤダーーーー!

言いたくないーーーー!


あたしが心の中でワガママを叫ぶ間にも、もれなく身長データ入りの自己紹介が、着々と進行していく。


その場で立ち上がって、サラッと身長を晒して、座って、次の人が立ち上がる。
これの繰り返しだ。


どうしよう。この流れでは、あたしも言わなきゃいけないですよね。


こんな状況で、落ち着いて他人の自己紹介を聞く余裕なんてない。

不安に駆られながら、体育座りした自分の膝とひたすら睨めっこ。


「1年の、服部 奏也です」


そんな聞き覚えのある声で、あたしはパッと顔を上げた。

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