小さなキミと
・
・
・
時計の針はもうすぐ、最終下校時刻の午後6時を回る。
現在、部員総出の後片づけも終わりに近づいていた。
「剛さぁー、絶対勘違いしてるよね?」
床のモップ掛けをするあたしの元へ寄って来たかと思えば、開口早々服部はそんなことを言った。
「うっさいな、どっか行けバーカ」
我ながらなんて子どもっぽい暴言なんだろう。
けれども、とにかく今は服部の顔なんか見たくない。
今はっていうか、もう一生見たくないっつの!
あばよの意を込めて足を速めたのに、服部は予想外にしつこく付いてきた。
「あれだろ? 自己紹介でオレが笑ったから怒ってんだろ?」
ピタリ、と足を止めて、わりと真剣な表情の服部をジッと見つめる。
「怒って、ないよ」
口に出して言ってみると、少し冷静になれた。
そうだ。
変に意地張ってただけで、怒りなんてとっくに冷めてるわ。
「ごめんごめん、アンタに馬鹿にされるなんていつものことなのにね」
アハハ、とあたしは声に出して笑った。
あの服部の自己紹介で勝手に親近感が湧いて、勝手に勇気をもらっただけ。
その分、笑われてショックだっただけだ。
ショックを無意識のうちに怒りに変換してたんだなぁ、あたし。
「服部、もう行っていいよ。本当に怒ってな」
「馬鹿にしてない」
あたしが言い終わる前に、服部が意外な言葉を被せてきた。
・
・
時計の針はもうすぐ、最終下校時刻の午後6時を回る。
現在、部員総出の後片づけも終わりに近づいていた。
「剛さぁー、絶対勘違いしてるよね?」
床のモップ掛けをするあたしの元へ寄って来たかと思えば、開口早々服部はそんなことを言った。
「うっさいな、どっか行けバーカ」
我ながらなんて子どもっぽい暴言なんだろう。
けれども、とにかく今は服部の顔なんか見たくない。
今はっていうか、もう一生見たくないっつの!
あばよの意を込めて足を速めたのに、服部は予想外にしつこく付いてきた。
「あれだろ? 自己紹介でオレが笑ったから怒ってんだろ?」
ピタリ、と足を止めて、わりと真剣な表情の服部をジッと見つめる。
「怒って、ないよ」
口に出して言ってみると、少し冷静になれた。
そうだ。
変に意地張ってただけで、怒りなんてとっくに冷めてるわ。
「ごめんごめん、アンタに馬鹿にされるなんていつものことなのにね」
アハハ、とあたしは声に出して笑った。
あの服部の自己紹介で勝手に親近感が湧いて、勝手に勇気をもらっただけ。
その分、笑われてショックだっただけだ。
ショックを無意識のうちに怒りに変換してたんだなぁ、あたし。
「服部、もう行っていいよ。本当に怒ってな」
「馬鹿にしてない」
あたしが言い終わる前に、服部が意外な言葉を被せてきた。