小さなキミと
「言い合いするのも面倒くさかったから、ゲームと菓子と漫画で適当に機嫌とって、ほっといた。そしたらすぐ、怒ってたことなんて忘れたよ。アイツ、単純だからさぁ」


葉山くんの容赦ない言い様に、プッ、と同時に噴き出すあたしと結。


なんとなく、服部と葉山くんの力関係が垣間見えた気がした。


「あたし、次服部を怒らせたとき用に、ゲームとかお菓子とか、携帯しとこうかなぁ」


そんなあたしの冗談に、今度は葉山くんが噴き出した。


「怒らせないようにしようって気はないんだ」


「ないね」


あたしは即答した。


「だってさー、服部からかうの面白いんだもん。いちいち真に受けるじゃん? アイツ。
怒った顔とか迫力なさ過ぎて笑える……なに?」


急に結と葉山くんの視線があたしの背後に向かったので、怪訝に思って振り返ってみる。


「今のは、ほんの冗談、ね……おはよう服部」


そこに立っていたのは、今まさに話題に上っていた人物だった。


「お前、人をコケにするのも大概にしろよ」


「アハハ……」


怒り心頭の様子の服部が、煮えたぎったように真っ赤に燃える目で、あたしだけを睨んでいる。


さっきの訂正。

服部の本気の怒り顔は、ちょびっと怖いわ。

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