小さなキミと

それぞれの恋

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5月も残すところ、後3日。


昨日で長かった中間テストがようやく終わり、

今日の授業はほとんどがテスト返しだった。


それぞれの教科担任によって、テスト返却時の教室の雰囲気がまるで違うのには驚いた。


世界史のときは、一切の私語を許さないと教科担任が授業冒頭で宣言したために、

ペンを落としただけで視線が集まるくらい、恐ろしいほどシーンとしていた。


それと比べると、今の現文のテスト返しは極端なくらいに開放的だ。


一喜一憂を声に出して騒ぐ生徒たちを、現文の教科担任の桜井(さくらい)先生は特に何も咎(とが)めない。


間延びした声で生徒の名前を呼んでは、淡々と答案用紙を返却していく。


桜井はそういう教師だった。



少々騒がしいこの教室で、あたしは1人、バツだらけの答案用紙を前に沈んでいた。


「うわっ、剛、お前また赤点じゃん。見た目通り、マジで馬鹿なんだな」


あたしの答案用紙の折り目を勝手に広げた服部が、ボロックソに暴言を吐いた。


服部の嫌味な薄ら笑い顔が、腹立たしいったらありゃしない。


そもそも遠慮という言葉を知らないのか、このチビは。


「服部だってどうせ赤点のくせに」


「オレ、現文は自信あるもんね~」


あたしの小言を、余裕の表情でかわす服部


彼の答案用紙が返ってくるまで、あと2人。

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