小さなキミと





その日の昼休み。


あたしの席と日向の席をくっつけて、そこに結が椅子だけ持ってやって来る、

といういつものパターンで3人が教室の隅っこに集まっていた。


日向とはあたしも結もすっかり打ち解けて、最近はいつもこの3人で行動している。


「世良くん? まぁ顔はカッコいいとは思うけど、涼香の理想にはちょっと背が足りないんじゃないの?」


そう言って、結は購買の焼きそばパンにかぶりついた。


「そーなんだよね。世良くん、あたしよりちょこっとだけ小さいんだよね……
って、そんなこと聞いたんじゃないっつーの」


「あ、そうなの?」とモグモグしながら結が言った。


「顔には出さないけどさ、あたしと服部のこと、内心ウザがってるんじゃないかなぁと思ってさー」


本気で心配になっているあたしに対して、結は「今さら?」と言ってケラケラ笑った。


「アンタら本当やかましいもんね。後ろから見てて面白いもん。
ひどいときは世良くん挟んで普通にケンカとか始めるし。もうすでに、世良くんに嫌われちゃってるかもよ?」


グサグサッ、と容赦ない結の言葉があたしに突き刺さる。


「あたしたちって、そんなにやかましい?」


あたしの問いに、結と日向は大きく頷いた。

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