小さなキミと





若葉南高校の球技大会における女子の出場種目は、バレーかバスケの2択だった。

競技自体が楽なバレーを取るか、唯一体育館で行われるので日焼けの心配が無用なバスケを取るか。


あたしと日向はバレー部なので、即決でバレーを取った。


どちらも未経験者の結はというと、小一時間は悩んでいたと思う。

結局、結は当日曇りになることに賭けて、バレーを取ることにした。


今日の天気はまさに曇り。

結の賭けは見事に当たりだ。


大会のプログラムは順調すぎるほど着々と進み、現在の時刻はちょうど正午を回ったところ。

全ての種目の、午前の試合が終わったので、1時半まで昼休憩の時間となった。


あたしは、結と日向と一緒に一旦教室へ戻った。


他クラスの生徒も入り混じり、1組の教室には見慣れない顔が多々あった。

人口密度は60%ってところだろうか。


込み具合はいつもの昼休みと同じぐらいだけど、今日は特別汗臭い。

机やイスを動かすのが面倒だったので、あたしたちは教壇に座って昼食を広げた。



「それにしても、女子のバレーはこうも盛り上がらないものなのかねー」


自分のお弁当を突(つつ)きながら、結がぼやく。


「ねー。相手先輩だったけど、もうちょっと本気だそうよって思っちゃった」


そう言った日向の手には、甘そうな菓子パンが1つ。

今日は、日向のママは手を抜いたようだ。


「ねー」


あたしも短く同意して、シャケおにぎりを口に放り込んだ。

< 89 / 276 >

この作品をシェア

pagetop