小さなキミと
「もう……逃げられないよ?」
ハァハァ息を切らせて言ったあたしは、
結と一緒に捕まえた日向の腕を引っ張って、もといた机の前へと連れ戻した。
「で、なに? なんて返事したワケ? 世良くんに」
結が、迫力満点の笑顔で日向に詰め寄った。
あたしもワクワクしながら日向の返事を待つ。
最近の日向って、世良くんとよく喋ってるの見るし、仲が良さげでいい感じだと思ってたんだよね。
日向が顔を真っ赤にして逃げていたのも、照れ隠しだと思い込んでいた。
ところが、返って来たのはこんな期待外れな言葉だった。
「だから、違うって言ってんじゃん。あたし告られてないからっ
たまたま偶然、体育館の裏で会っただけ。で、ちょっと喋っただけ」
「え、でも呼び出されたって……」
そう言ったあたしを、日向はキッと睨み上げた。
「呼び出されたなんて言ってない。
“世良くん”“体育館の裏”ってワードだけ聞いて、そっちが勝手に解釈しちゃったんでしょ」
ぷりぷり怒ってカッターシャツを羽織った日向だけど、相変わらず顔が真っ赤なのが少し気になる。
「じゃあ逃げなくてもいいのに」
「ホントホント」
謝りもせずに文句を言うあたしと結に、日向は「フンッ」と子どもっぽく顔を背けた。
「ていうかそもそも、なんで体育館裏なんて行ったワケ? 体育館なんて、あたしら行く必要あった?」
「あぁ、確かに言われてみれば……」
そこまで言って、あたしはあることが頭に浮かんだ。
結も同じことを思ったらしく、2人して顔を見合わせ、思わず笑みがこぼれた。
ハァハァ息を切らせて言ったあたしは、
結と一緒に捕まえた日向の腕を引っ張って、もといた机の前へと連れ戻した。
「で、なに? なんて返事したワケ? 世良くんに」
結が、迫力満点の笑顔で日向に詰め寄った。
あたしもワクワクしながら日向の返事を待つ。
最近の日向って、世良くんとよく喋ってるの見るし、仲が良さげでいい感じだと思ってたんだよね。
日向が顔を真っ赤にして逃げていたのも、照れ隠しだと思い込んでいた。
ところが、返って来たのはこんな期待外れな言葉だった。
「だから、違うって言ってんじゃん。あたし告られてないからっ
たまたま偶然、体育館の裏で会っただけ。で、ちょっと喋っただけ」
「え、でも呼び出されたって……」
そう言ったあたしを、日向はキッと睨み上げた。
「呼び出されたなんて言ってない。
“世良くん”“体育館の裏”ってワードだけ聞いて、そっちが勝手に解釈しちゃったんでしょ」
ぷりぷり怒ってカッターシャツを羽織った日向だけど、相変わらず顔が真っ赤なのが少し気になる。
「じゃあ逃げなくてもいいのに」
「ホントホント」
謝りもせずに文句を言うあたしと結に、日向は「フンッ」と子どもっぽく顔を背けた。
「ていうかそもそも、なんで体育館裏なんて行ったワケ? 体育館なんて、あたしら行く必要あった?」
「あぁ、確かに言われてみれば……」
そこまで言って、あたしはあることが頭に浮かんだ。
結も同じことを思ったらしく、2人して顔を見合わせ、思わず笑みがこぼれた。