きっと、明日も君がすき。
捕まれていた腕の力も、放されてすとん、と落ちる。
「……そう」
一言。言われた言葉も、向けられた視線も、刺すように冷たかった。
私はもう、何も言えなくて。
ただ、口に出してしまった言葉はもう戻すことはできなくて、終わったんだと実感するしかなかった。
「好きにすれば」
はっ、と息を吐きだした結真くんは、一言。
最後にそういったかと思えば、駅の方へと歩いていく。
もう私を待ってはくれない。
ばいばい、の挨拶すらいってくれない。全部、私が。自分から手放した。
遠くなっていく背中と、その姿がぼやけていく。ぐっと目に力を入れても、だめで。俯いて目を瞑ってから、前を向いてバス停へと歩き出す。
まだ、だめだ。まだ。家に帰ったら、思いっきり泣こう。
今日思いっきり泣いたら、明日からは全部忘れて頑張ろう。
麗ちゃんと結真くんが大会でいい成績を残すことができるように応援に徹するんだ。
もう近くにいれないけれど、
遠くから結真くんを応援するんだ。
我慢、我慢、我慢。心の中で必死に唱えるけれど、唱えれば唱えるほど胸は締め付けられて苦しくなっていく。
好きすぎて、苦しくて、窒息して死んでしまうのではないかと思った。
むしろ、それで死ねるのなら、幸せなのかもしれないと思ってしまった。