きっと、明日も君がすき。
「ごめんなさい…」
せっかく心配してくれたのに申し訳なくて謝れば、視線を逸らされた。
そして、そのままさっきまで私が作業をしていたキャンバスの前へと座る。
「あ、」
見られるのは恥ずかしくて、止めようと思うけれど止められないまま。
じいっとキャンバスを見つめる結真くんの横に、少し離れて立つ。
「夕日…?」
「うん」
書いていたのはこの学校で何度も何度も見てきた夕方、陽が射す校舎の絵。
「景色を描くお手本にね、書いてみればって言われて書いてたの」
何を描いたらいいのか分からなくて。この学校で景色と言えば、って一番に思い付いたのがこの絵だった。
その夕日に使う色を探してて、赤の絵具が手についちゃったんだけど…。
「…綺麗だな」
ぽつり。絵から目を離さず言う結真くん。結真くんもきっと、自分で見たことのある景色とこの絵を見比べながら思っているのかな。
「あの頃よりも、やっぱりうまくなってる」
………ふわり、と。
落とされた言葉。結真くんの視線が私の方を見ることはない。
昔を思い出して言ってくれている。忘れられていない。その事実だけで、じわりと胸が苦しくなって。