きっと、明日も君がすき。
驚いたのは。



次の日も当たり前のように結真君が美術室へきて勉強を始めたことだ。


てっきりその日の気分で来てくれたものだと思っていたわたしは、そのことにひどく驚いた。

同じようにきっちりと9時まで。そのあとは帰る。

そのあと土日を挟んで、さすがに今日は…と思っていたら来てくれたから、彼の中で日課になったのかと嬉しくなった。








「…進んでるのか分かんないな」

週明けのここに来るようになって3日目。


1日目、2日目とここへきてすぐに勉強を始め、私の絵に見向きもしなかった彼が、初めて私のキャンバスの前に立って絵を視界に移した。

そして一言。


たしかに分からないだろう。

だけど、私の中では少しずつだけど進んでる…つもりなのだ。

むしろ進んでいなければ困る。

「進んでる…よ?」

「どこが?」

「えっと…ここら辺かな」

持っていた筆で、左下の方をさす。


眉を寄せる結真くん。

私の絵、見てないと思っていたけれど、見てくれていたのかもしれない。じゃないと、進んでるのか進んでないのか分かんないもんね。


そうのんびりと思う私に、冷たい声が降ってくる。

「今日で試験2週間前だけど大丈夫なわけ?」


「大丈夫じゃ…ないです」

一応帰ってから2時間ほどはさすがに勉強しないと危ないと思って勉強してるんだけど…大丈夫かと言われれば大丈夫ではない。

絵を描くのも遅いけど、もちろん勉強をするのも要領が悪いのは共通で。

「…早く描き上げれば?」

「…そうします」




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