きっと、明日も君がすき。
結真くんの手元を見ると政治経済のまとめのプリント…みんながテスト直前の最終確認で使う分を解いている最中で。
どちらかというと政治経済は最終日に近い日程の教科だったはずなのにもう最終段階に入っているんだと驚く。
数学の得意な人はみんなそう言う。
数学は公式さえ覚えておけばわざわざ勉強しなくてもいけると。
おまけに答えがはっきりしているからどんな教科よりも解きやすいと。
きっと結真くんも頭が良くてその類いなんだろう。
だけど、私は違う。
数学どころか、数字を足すだけの計算すら苦手で。
文字がたくさん入ればなおさら訳がわからない。
曖昧に答えた私に結真くんはさらに聞いてくる。
「…得意な教科は?」
聞かれて、少し考える。
「ないです」
「美術は?」
「それは…得意というか、好きと言うだけで…」
絵を書くことはとても好きだ。
だけど、だから美術の成績がいいというわけではない。
好きだからと言って得意というわけではない。
実際筆記ではあまり良くない点数を取ることだってあるし、美術嫌いと言っているこの方が点数が良くて落ち込むことだって多々あるから。
得意だとは言えない。
「苦手な教科は?」
「…全部です」
こちらは考えずに即答した。
胸を張って言えるくらいだ。
情けないけど。
それを聞いて、結真くんは気持ちの悪いものを見る目で見てくる。
ごめんなさい。ついそう言ってしまいたくなった。
「あと一週間しかないけど…大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないです…」
「………」
「………」
同じクラスじゃなくてよかった、と始めて思った。
勉強してる結真くんは見たいけれど、同じクラスだったら私の馬鹿がばれてしまう。
今もうばれたんだけど…
「ちょっと見せて」
すっと手が伸びてきて、私の教科書とノートが取られた。あっと小さな声をあげてしまったけれど、その時にはすでに結真くんの手の中で。