きっと、明日も君がすき。
ペラペラとノートと教科書がめくられていく。
ノートは授業中解いた練習問題はことごとく間違えて赤ペンで書き直してばっかなのに…。
一通り見終わったのか、ちらっと私を見た結真くんは呆れた顔で。
いたたまれない。
「何これ。授業中に解いてどうして間違えるの。説明聞いてすぐ解いてんだよね?」
「はい…」
「それとこれ。どこ大事なのか全然わかんないんだけど」
そう言って開いたままこちら側に置かれたのは蛍光ペンでアンダーラインを引きまくっている教科書。
どこが大事か分からずとりあえず大事そうなところを引いたらこうなったのだ。
全部大事に見えたのだ。
「公式だけで十分」
「すみません…」
はぁ、とため息をつかれる。謝ったところで1度引いたアンダーラインが消えることはないけれど。
私は勉強の仕方が悪いらしい。
途方にくれる私に、結真くんは、ガサゴソと鞄を漁り出す。
そして、ぽんと机の上に置いたのは私と同じ数学の教科書で。
「ん」
差し出されたそれに、結真くんを見る。
「貸す。大事なとこだけ線引いてるからそこだけ覚える。その横にワークで該当する問題書いてるから、それ説いたら答え合わせして次の線引いてるとこ覚えてワーク説く。その繰り返し。今から帰って解けば今日中に終わるから明日は他のすればいい」
すらすらーと言われることがアドバイスではなく指示だとわかり、言われたことをしっかり覚える。
線を引いてるとこを覚えて、ワーク解いて、答え合わせして…
教科書を開けば、私のそれとは大違い。
線を引いてるところを探す方が大変ってくらい少ない。
そして、使ってないかのように教科書はとても綺麗だ。
ペラペラとめくっている間に、結真くんは広げていた教科書類をしまいだす。
帰るのかな…。
「…ありがとう」
まさか勉強の仕方を教えてくれるとは。
私がテストで悪い点を取ろうとしったこっちゃないと思われると思っていたから。
「別に。早く帰る用意しなよ。帰ってそれ、しないといけないんだから」
既に帰る用意を終えた結真くんは立ち上がって鞄を肩にかけ待っている。
私は慌てて…
でも結真くんの教科書は特別丁寧にカバンの中にしまいこんだ。