きっと、明日も君がすき。
もう落ち着いたと思っていたのに…。
顔が歪んでしまう。
引っ込んだはずの涙が戻ってくる。
「せんせ……」
言いたいけれど、言えない。
きっと、言葉にして先生に伝える前に、耐えきれなくて、泣いてしまって先生に伝えることができないだろう。
言いたかった。
好きだったよって。
卒業した後はどこに行くの?地元なの、他県なの?
これからも、頑張ってね…
友達なら言えるこの言葉が、
離れてしまった私にとってはとってもとっても難しい言葉で。
伝えることどころか、
佐田君の視界に入ることさえ…目を合わせることすらできなくなってしまった。
ぽとりと一つ落ちたらもう我慢していた壁が崩れて。
ぽろぽろ流れてきた涙を必死に手で拭う。
「すみませ…」
「今まで良く頑張ったね。思いっきり泣きなさい。その方が強くなれるから」
「っ…、はいっ……」
離れたことを、自分から別れを切り出したことを何回も後悔した。
佐田くんから言われるまで一緒にいたら良かったんじゃないか。
2番目でも、彼女として思われていなくても、ただ隣に入れたらそれだけで良かったんじゃないか。
欲深くなったから、ああなってしまったんじゃないか…
あの時、あんなことを言わなかったら、離れていなかったら、もっともっといろんな佐田くんを…
今も笑顔で学校を去ることが、これからも一緒にいることができていたかもしれない、と。
どれも仮定の話だけれど、それでも考えられずにはいられなくて。
麗ちゃんが大事だった。そのことに後悔はない。
けど、もっと他にいい解決策があったんじゃないかなんて今さらダラダラと思ってしまう自分が嫌になる。
麗ちゃんが、大事だった。
あのままだったら、麗ちゃんの大事な高校生活を私のせいでダメにするところだった。
私は、麗ちゃんと佐田くんを天秤にかけて…
そして麗ちゃんを選んだのに…それなのに今さら…最低な人間だ。
考え出したらキリがない後悔の渦。
「…私…変わりたいです」
もっと強かったら、どっちかなんて選ばずにどっちも大切にできていたのかな?
強く、なりたかった。
「うん」
ずっと黙って撫でてくれていた先生の手が、止まる。