きっと、明日も君がすき。
「そこまでする必要ないんじゃない?」
佐田君…
大島さんをHRへ行かせた後、黙って私に鍵を私、控室へ戻っていたのに。
振り向けば私を見下ろしている。
鞄を持っているということはもう帰るのだろう。
「授業中に作って、無くして、自業自得じゃん」
そんな言い方…
「わざわざ矢野さんがそこまでして探してあげる義理はないんじゃない?」
「でも、明日で最後なのに、渡せないなんてかわいそうじゃない」
「こんだけ探してもないなら、諦めれば?」
はぁ、とため息を尽きながら言うけれど。
諦めろ、なんて簡単に言うけれど…
「諦めません」
「………」
「あの子がどんな思いでミサンガを作ったのか、気持ち分かりますか?」
「何。矢野さんは分かるの?名前も咄嗟に出てこなかった子なのに?」
そうだけど。
思わず佐田くんを睨む。
「ハッキリとはわからないけれど、考えることはできます。感謝の気持ちを、ありがとうだったり、その時してくれたこと、表情、言葉…思い出しながら大切に作ったと思うんです。最後だから渡したくて、頑張って作って…
きっと、渡さなきゃずっと後悔するんです。あの時渡せなかった、渡したかったのにって。そんな後悔するって分かってて、諦めるだなんて簡単にできません。できる限り力になってあげたい」
私は後悔した。
だから、あの子には後悔はして欲しくない。
後悔して得たものもあったけれど、それでも現在進行形でできることなら、後悔せずに済む方法があるならばわたしはできる限りのことをしてあげたい。
「…あっそ。勝手にすれば」
冷たく落とされる言葉。
「……言うようになったじゃん。何、俺を振って自信でも持てた?」
捨て台詞のように言い捨て、ふい、と踵を返して出て行った佐田君。
「あ……」
また、喧嘩みたいになっちゃった。明日で最後なのに。