きっと、明日も君がすき。
プレゼントを手に持ち、美術室へと向かってる途中、着信が。
表示されてるのは、麗ちゃん。
「もしもし?」
『あ、志桜里!?もう実習終わった?』
「うん…後田島先生にお礼の挨拶いいに行くところだけど…」
『だけどじゃないよ!佐田!佐田も同じ実習生だったんでしょ⁉︎』
向こうの剣幕がすごくて、思わず耳から話してボリュームを下げる。
何で佐田くんのこと…どこで聞いたのか。
あ、弟くんか。
そうだ。弟くんは確か二年生にいるんだっけ。
美術選択じゃないから会わなかったけど…
『こいつ本当役立たず。帰ってきて志桜里のこと聞いたら佐田も居たとか今頃言うんだもん。私もまさか佐田がいるとは思わないから聞かないし』
「あぁ……うん。いたよ」
『…私のせいだよね?』
「え?」
『あの時。私が標的になったら困るから、言われた通りに別れたんでしょ?』
一瞬で思い出すあの日の光景。
「…麗ちゃんのせいじゃないよ」
『嘘』
「本当に。遅かれ早かれあぁなる運命だったんだよ。私が、嫌がらせに耐えられなかっただけ。麗ちゃんは関係ない」
『……しおり』
沈黙。
『…ごめん』
「だから、悪くないって」
『うん。だけど、ごめん』
苦しそうに言うから、何も言えなくなる。
『でもさ、志桜里。今からでも遅くないんじゃない?』
「何が?」
『あの時言えなかったこと、言えるんじゃないの?ずっと心の中に残ってること。あの時と今は、違うでしょう?』
「ううん、言うつもりはないの」
姿が見れた。あのとき中途半端な終わらせ方をしてしまったから、今回は綺麗にお別れしてさよならする。