きっと、明日も君がすき。
私は結局、昔も今も何も変わっていない。
年ばかり重ねただけの臆病者だ。
人に言われなければ、背中を押してもらえなければ勇気が出なくて。伝えたい言葉も伝えることができない。
心の中で反芻するだけで、言葉に出して言うなんてこと、できない。
「……いない…」
パタパタと廊下に響くのは私の足音だけで。美術室からそのまま向かった数学準備室は、他の教室と同様誰もおらず静まり返っていた。
ここにまだいると思ったのに。
仕方なく実習生の控室へ向かえば、結真くんの席にはまだ荷物が置かれていて。
それは、まだ結真くんがこの中に残っている証拠で。
一体、どこへ。
走ったせいで疲れた体で考える。
――――思い当たる場所なんて…
私が思いつく場所はもう、あそこしかない。
ここにいて待つのが確実か。
荷物はここにあるんだし、きっと待てばいつかはここに戻ってくるはずだ。
だけど、じっと待ってなんていられない、と思った。
誰かに引き止められているのかもしれない。ここに結真くんが戻ってくる間、また臆病な自分が出てきそうな気がした。
‘今すぐ’
伝えたいと思った。