きっと、明日も君がすき。


もしかしたら1人ずつ挨拶があるかもしれないと思い

前々から頭の中で考えていた挨拶文が不要となったことに静かに安堵した。


教師になる人がこれでいいのかと思うけれど、小さい頃から人前に出ることは苦手で、成人した今でもそれは克服できていない。




少しはマシになった方だと

自分では思っているのだけれど。


「それじゃあ、実習生の控え室に案内しようかな」



まだ自分の中でうまく状況が把握できない。けれど、周りは進んでいく。



私達の方に向き直った先生は、職員室を出ていく。

私達も黙って先生に続いた。


実習生の中では、最後に来た彼を先頭に歩く。

彼の背中。初めて見たスーツ姿。あの頃よりも少し短い髪に、黒い髪に胸が苦しくなる。




……実習生の控え室として割り当てられたのは

中央階段の二階。

階段のすぐとなりにある

視聴覚準備室だった。


……これは、私が高校にいたときから変わっていない。実習生の控え室として使われることは知っていたけれど、それ以外では生徒が利用することもなくて。

掃除の区域にも割り当てられることが無かったから





高校にいた頃は一回も足を踏み入れなかった場所。




初めて入ったこの部屋は小さい部屋だけど、5人には程良い……と言った所だろうか。





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