きっと、明日も君がすき。


ぽつり、声をこぼせば隣の垣添さんが笑顔でうなずいてくれた。





同じ大学から……それは心強いなぁ。

芸大で同じ実習先になることはほとんどないので、少し、羨ましく思う。


スーツ姿でも、筋肉がついているのが分かる山根くん。

雰囲気から、なんとなく体育会系じゃないかなと思ってた。




隣の垣添さんも体育だとは思わなかったけれど…。

肩につかないくらいのパーマで、笑顔が印象的。

少し低めの声は力強くてハキハキしてるし、

何より優しそうで良かった。

「君は?」

思わず声に出してしまったことで

認識された山根くん、

から次に振られたのは私。

あ……。

山根くん、垣添さん、

そしてもう一人の方へと順番に視線を移しながら

昨日から何度も頭の中で唱えていた言葉を言う。



「あ……えっと、A芸術大学から来ました。矢野 志桜里(やの しおり)です。美術の実習生です」


「芸大…!?すごっ!」




「え、」


さっきと逆で。

今度は垣添さんが、口に手を当てながら、身を乗り出してくる。



「国語かと思った!」



山根くんからも声があがる。その言葉に、ぎこちない愛想笑いしか返せなかった。



私、国語っぽい?




国語は好きだったけれど、好きと得意は同じではない。成績は決して良くなかった。





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