きっと、明日も君がすき。




「若い人たちの中に入るのは、慣れてるつもりだけど、やっぱり会話が早いねぇ」

自分の番がきた男性は、そういって笑う。

来たときから、ちょっと不思議だったんだけど・・・。



「N 大学から来ました。椋野です。皆さんよりかなり年上で42です。社会科・・・地理を専攻してます。よろしくね」


ゆったりとした自己紹介。深みのある低音の声が、ずしりとぶつかってくる。





持つ雰囲気は、私たちにはない大人の余裕がある。



「42、ですか・・・!」



「えぇ。もともと他の仕事をしてて、やっぱり教師になりたくて、大学に入り直したんです」



さっきと同じように素直にリアクションを取り驚く体育陣に、笑ながらも説明してくれた。




そうなんだ・・・。

「山根くんと垣添さんは同じ大学、佐田くんと矢野さんは卒業生か・・・僕は一人だから、優しくしてね」



ふふふ、と笑う椋野さんは梅田先生とどことなく似てる。

「そんな。みんなで仲良くしましょうよ!きっといろいろ相談させてもらうと思います」




「そう? 人生の悩みならなんでも相談に乗るよ」


かなり年上の方にもガンガン話しかけて行く山根くんは、フレンドリーだなぁ。

「仲良くみんなで実習乗り越えよう、な、結真」



「・・・あぁ」


笑顔の山根君と、温度差のある彼。


まだ立ち入ることは許可されてないはずの壁の存在があること知らないのか、知っているけれど御構い無しなのか。



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