きっと、明日も君がすき。



肌寒く感じていたとはいえ、一応は暖房が入っていた教室。



そこと廊下の温度差に一瞬身震いをしたものの、

足はそのまま目的の場所へと動き出す。



はやる気持ちを抑えながら、

階段を、駆け降りた先。


「―――あ」

「良かった、間に合った」



目的の人物を見つけて、自然とゆるむ頬。

だけど、私を視界にとらえた彼は数秒私を見たあと。

何事も無かったかのように歩き出した。

「ちょっ、待ってください!」


「やだ」


慌てて後を追うものの、すでに靴を履きかえていた彼はさっさと外へ出ていく。




その後ろを追うように靴を履き替え、乱暴に上靴をロッカーへ投げ入れる。

すでに差は数十メートルとなっていて、振り返るそぶりもなく淡々と離れていく。

寒そうに歩いていくその後ろ姿に、思わず見とれてしまう。

「…やっぱかっこいい」

写真を撮りたい。


撮ったら怒られるかな。ばれないかな。



そうこうしている間に、また少し距離は遠くなり。追いかけるために走り出した。




「……毎日飽きないね」


隣へと追いつき、横顔を見上げれば、こっちを一切見ずに口を開く。視界に移してくれないことにがっかりしつつも、話しかけてくれたことに笑顔になる。




ちゃんと私が隣に来たってことを認知してくれてるんだ、と。

それだけで、きゅんと胸が鳴る。

そんなところがかっこよくて。


そして好きだと。




合わせることを知らない彼の歩調に、私が合わせながら言葉を返す。


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