きっと、明日も君がすき。


「冬自体は好きなんですけどね」

ツンとした冷たさも空気が澄んでいるような気がするから。

「ねぇ、」

「はい?」

一人でべらべらと話していれば、隣から声。

今までポケットに入っていた結真くんの手が動き出す。


何だろう。

声をかけてきたにも関わらず、次を話そうとしないことに首を傾げれば。



「いらない」

抜かれた手と一緒に目の前に出てきた、白い物。

歩いていた足を止めれば結真くんも立ち止まる。


パチパチと数回瞬きをして、数秒見つめる。すぐにそれが何かわかったけれど、感動して動かない私に痺れを切らしたのか。


受け取れと無言でそれを揺らされて、あわてて両手で受け取った。




すぐに結真くんの手はポケットに逆戻り。




再び動き出してしまうから、私も少し遅れて歩き出す。

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