きっと、明日も君がすき。



カイロに鼻を近づければ、温かさと同時に結真くんの匂いがする。すごい。カイロまでいい匂いが…。



普通なら鉄の匂いがするはずなのに。

私の鼻は結真くんの匂いしか感じない。

でも、ずっとそうしている訳にはいかず頬へと移動させる。

結真くんがくれたカイロ。


いらないってくれたけど、いらないわけないよね。



私の冷たさで、せっかく温まっていたカイロの熱を奪ってしまった。




「ありがとうございました」


そっけないけどくれたって言う優しさにもうすっかり暖かくて。

結真くんの胸元に差し出せば、視線が落とされてカイロとらえる。



「いらないって聞こえなかった?」


「え、でも、」

私にくれるまで、ずっとカイロはポッケにあって。


結真くんはずっとポケットに手を入れていた。いらないわけない。

「変だと思ってたけど、耳まで変になったわけ?」


「……」

差し出した腕を避けるようにして、歩いていってしまう。



ぽつんと取り残される立ち止まったままの私。



…変なんかじゃありません。


耳も正常ですけど…。変なのかな?結真くんの考えていることが、全く分からない。黙って使っとけってことなのかな。



「…大切に使わせていただきます」

言った言葉は、彼へと届いたのか届いていないのか。


だけど、ポジティブにとらえることにした。些細なことだけど、こうしてきゅんとさせてくれる。


温かくしてくれる。だから、やめられない。

いくら寒くても…

雪が降っても雹が降ってきても。

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