きっと、明日も君がすき。
1段目に座ってた人の頭に
当たってしまっていたかもしれない。
拾ってくれた人はこっちの方を向いていたし、
立っていたから当たることはなかったはず。
もし友達に当たってたらってことを思って「危ない」って言われたわけで。
「きっと友達思いの、優しい人なんだよ」
「志桜里」
友達が危なかったからって、あそこまで無表情で怒る人、今まで見たことがない。
「それに、あの表情!今思い返すときゅんときたかも…」
そう。逸らせないくらいに。真っ直ぐに見てきた目は力強くて。
「やめて、志桜里」
ぐいっと肩を掴まれる。
目を見開けば
目の前にはすごい形相の麗ちゃん。
近い、近いよ麗ちゃん…。
「志桜里、だめ!あんたのタイプはあんなのじゃない!」
「へ、」
「志桜里は優しくて、思やりのある温かい男が似合うから!常に文庫本持ってて眼鏡かけてそれ読んでるような!あんな無愛想に泣かされるとこなんか見たくないから!」
だからやめときな、と言われる。
「…大丈夫だよ、別にかっこいいなって思っただけで。初めて見た人だし」
「絶対好きになっちゃだめだよ、あんな感じ悪い人じゃなくて優しい人を好きになるんだよ」
「大丈夫大丈夫」
麗ちゃんの肩をぽんぽん、と叩く。
大体さっき初めて見た人だし、接点もないし、きっともう会わないだろうから。