きっと、明日も君がすき。

「ここから。帰ってる様子、丸見えなの、気にしなかった?」




カチン、と鍵を外し、窓を全開にする。

入ってきた外の新鮮な風は冷たい。



先生の横に並んで、同じように視線を向ける。見える遠くの昇降口。そこは、在学中に私が毎日出入りをしていた場所。




……確かに。遠いけれど、出入りする姿は、丸見えだ。

……それで。

「部活に出なくて直帰してるから怒ろうかなって何回思ったことか」

先生は横目で私を見下ろして笑う。

……昔のことを改まって言われると困る。

怒られたこともなかった。

付き合っていることについても、当時田島先生は触れてこなかった。

だからずっと、知らないと思っていたのに。

優しい顔で懐かしそうにそう言う先生に私も恥ずかしくて笑いがこぼれた。

「すみません」

「いいんだよ。割と自由な部活だからね。コンクールの締め切りにはちゃんと間に合うように作業してくれてたから」

先生は、じいっと昇降口の方を見つめる。

今は授業中で誰も通ることのない昇降口。

あそこから出るとき、決まって私は先を行く結真くんを追いかけてたような気がする。

……先生の目には、どんな風に映っていたんだろう。




聞くことはしない、けれど。



「たまにここで逢瀬もしてたよね」

「それは……、逢瀬、なんかじゃないです」




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