きっと、明日も君がすき。
ただ、気まぐれに結真くんがやってきて、話してただけで。
そんなことまで先生は知っていたなんて。
「あの場面、今でも覚えてるんだ。絵にしたいと思って。書けるかな」
「っ、やめてください」
もう、昔のことだ。
戻れない、過去のことなんだから。
「あ、……授業の無い時は、控え室だっけ?」
昇降口を、ぼんやりと見つめていれば。体を反転させた先生は話を変えるように、私に尋ねてくる。
「えぇ……先生の指示によりますけど……」
「他の子達は授業割と詰まってるんでしょ?なら控え室でも基本1人なんだよね?」
「多分、そうだと思います…」
「……それなら、ここで絵でも書いてたら?」
トントン、と、机を叩かれる。
「部活にも出て後輩に教えてあげて欲しいし……お手本の絵でも、何でも。美大に進んでの成長も見てみたいしね」
「……そんな、お手本になるような絵はかけません。成長も、そんなに…」
高校生の頃、先生のアドバイス、色彩の選択、構成、どれも的確だった。
先生の絵も何枚も見たけれど、私はきっと、先生のような素晴らしい絵を何年経っても書ける気がしない。
成長、してるのかさえ自分ではわからない。