神様なんていない
夏の始まり、夢の始まり
「この指輪、唯に似合いそう」


雑貨屋のペアリングを見ていたら、遠矢が笑みをこぼし、そんな事を言ってきた。


「買ってやるよ」


「私に?」


「そう、唯に。要らないなら買わねーぞ」


「......欲しい」


夏休みの初日、指輪を遠矢に買ってもらい、私は嬉しくて泣いた。


泣いていたら、遠矢は頭を優しく撫でてこう言った。


「俺以外に涙見せるなよ」
< 8 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop