絶対やせて貰います。
第一関門突破?
「ねぇーその人、お兄ちゃんの新しい彼女なの?」
『こんな夜分にアポなしでお邪魔するのが唯の同級生なんて普通じゃないのかも』
光さんに突っ込まれてあたふたと挙動不審な行動に出そうになるのをグッと堪えて何て言おうかなと考えていたら
「彼女は高校の同級生、訳ありで今日は来て貰った……」旭君が代わりに答えてくれた。
旭君のお父さんは不在みたいだけど、自宅に伺った本題を話さなくてとスーと心を落ち着かせて話し始めた。
「旭君も私も今大学3年で来年は就活が始まります。
それで面接で不利にならないように旭君にはダイエットを始めて貰いたいと思っています。
本人の努力ももちろん大切ですが、ご家族の協力無くしてはとても難しい事だと思い今日は突然お邪魔してしまいました。
どうか……旭君のダイエットにご協力お願いします」
マリアさんと光さんに頭を下げてお願いした私に掛けられたのは予想だにしない言葉だった。
「ふ~ん、殊勝なこと言ってるけど……
高校時代のお兄ちゃんを知ってるって時点でもう嘘臭くて信用ならない。
どーせ痩せさせて前みたいにカッコ良くなったら彼女にでも立候補するつもりでしょ?
ホントあざといよね」
私の行動がそんなふうに受け取られるとは全くの予想外だったためカウンターパンチを食らったように暫し思考力停止状態におちいる。
「なんて失礼な言い草なの、謝りなさい。ひかる」
「こいちゃんごめん、おい。ひかる謝れ……」
「皆して彼女の味方なの?
別にいいわよ。ダイエットに協力なんてしないし、私は悪くないから謝らない……」
「「ひかるーーー」」
光さんは怒ってリビングから出て行ってしまった。