絶対やせて貰います。
「今まで食べた中で一番美味しかったパウンドケーキのレシピが欲しくて。
『お願いだから書いて貰って来て』何度もお願いしてたのに結局は、
『最後まで言い出せなかった……』そう言ってお兄ちゃん高校卒業したじゃない」
この話を聞いていてふと疑問に思っていた事を思い出し、
『何だそういう事だったのか』と納得した。
『吉田さんに邪魔されたり、お友達に呼ばれなければ旭君は私に”パウンドケーキ”の”レシピ”を書いて欲しいと言うつもりだったのね』
私に話したそうな素振りに見えた真相も謎が解けてしまえばこんなものだ……
でもレシピを欲しいと思って貰えるほど気に入って貰えたのはとても嬉しいことだけどね。
ハハ……と心の中で苦笑いをする。
「こいちゃん、パウンドケーキのレシピ書いてくれる?」
期待に瞳をキラキラさせたひかるちゃんを見て”ピコン”と閃く。
「もちろん構わないよ。
但し、ダイエットに成功したらだけどね。
だからひかるちゃんも旭君と一緒にダイエット始めようね」
ウマの鼻先に”にんじん”みたいだけど。
私もカンナちゃんに同じ手で上手く乗せられたからその効果もよ~く分かっている。
ひかるちゃんはこいちゃんの意地悪って顔してジッとーと恨めしい表情をしているけど、ここで折れる訳にはいきません。
多分一人で始めるより人数が多い方が励みになるし心強いはず、今が絶妙なタイミングな筈だから……
そこにもう一人参加者を募る。
「マリアさんの一緒にどうですか?
私は2年掛けてゆっくり無理なく減量しました。
旭君は就活があるし、体力もあるから1年を目標にしますけど……
ホントにゆっくりなペースでいいのでやってみませんか?」