絶対やせて貰います。
「おい、大弁(だいべん)トリオ、今日も男子顔負けのデカ弁だな……」
そう声を掛けてきたのはクラスメートの吉川遼(きっかわりょう)君、お昼休みになると必ずと言って良い程私たちに絡んでくるのが日課のような人。
「どすこい……これ食べていい?」
「……あっ!……」
返事をする前に私の弁当箱から本日のメインディッシュであるエビフライを摘み上げパクリと美味しそうに頬張った。
「遼……お昼時間に妙なトリオ名で呼ぶなと何度言ったら分かるのかな?
こいを『どすこい』って呼ぶなって優しく教えてあげたよね?」
優しげな言葉とは裏腹に立ち上がった飛鳥ちゃんは強烈な足蹴りを遼君のお尻にお見舞いする。
「痛ってーー」と声を上げ尻を擦りながらも笑っている遼君。
彼に悪意があって私のことを『どすこい』と呼んでいる訳ではない事が分かっている
だから私はそんなに気にならない。
上手いこと言うなぁーと思ったくらいだから……
私(わたくし)錦野鯉子、身長は143cmとミニサイズなのに体重は170cm越えの親友より重いビッグサイズだから『どすこい』と呼ばれても仕方がない。
カンナちゃん、飛鳥ちゃんの二人と仲良くなった切っ掛け『ある共通点』とは男子顔負けの大きな弁当だった。