絶対やせて貰います。
気が付けばもう8時に近くになっている。
「そろそろ帰りますね」慌てて帰り支度をする私に
「うちでお夕食済ませたら?」とマリアさん
「そーだよ。こいちゃんも一緒に食べてって……」
さてどうしたものかと思案していたら、ガチャリと玄関ドアの開く音に続き
「ただいまー」
旭君の声が聞こえたと思ったらこちらに向かってくる足音が段々と大きくなり
それから直ぐにその姿が目の前に現れた。
まだ見慣れたとは言い難い太ってしまった旭君の姿に若干の戸惑いを感じる。
就職活動の為に”ダイエット作戦”と名を打って絶賛開催中のダイエットだけど、本人が太った事を悩んでいる訳でも無いのに勝手にダイエット指南役を買って出たのは良かったのだろうか?
お酒も入って冷静だったとは言い切れない状況だっただけに今更だけどそう思えてならない。
ここ数日のうちに高校で言葉を交わした以上に会話が成立している私と旭君
それは今の旭君の姿に親近感を抱いているのも少なからず関係している。
以前の近寄り難いバリアのように旭君を覆っていたハンパないオーラが薄れたからなのかは分からない。
一年後ダイエットに成功して以前の姿をとり戻した旭君の姿を見つめながらも
私はダイエットをする前の太っていて人の良さそうな笑顔を向ける旭君の姿を
懐かしく思い出すんだろうなーふとそんな事を考えていた。