絶対やせて貰います。

最後の方は私に聞かせるというより心情がそのままポロリと零れ落ちてしまったのだろう。

高校当時、旭君のことを完全無欠の彫像であり窮地を救ってくれた心優しきヒーローのように崇めていた。

そんな彼が格好も付けず自分の事を情けないと素直に言葉にするのを聞いた今……

虚像が崩れてがっかりするどころか、私と同様に悩みを持つ血の通った普通の青年なんだと感じて

二人の間にあった目に見えない距離が初めて縮まったように感じていた。

「これまで誰にも言えなかったから……

聞いて貰ったら何か心が少しだけ軽くなったよ。

こいちゃんって話し易いね」

う~ん……それって私だから話し易かったの?

それとも私がそれほど親しくない間柄だから返って話し易かったの?

どっちの意味なの?って思わなかった訳じゃない。

それでも笑顔で話す旭君の心のおもりが少しだけでも軽くなったのなら

『良かったー』って素直に思えるから不思議……

これからも私は旭君の言葉一つに翻弄される日々を送る予感がしていた。



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