絶対やせて貰います。
小岩井父を体を張って引き止めたまでは良かったけど……
さあーこれからどうしたものか?
三人で呆然と立ち尽くしていたら、勝手口からお店のご主人らしき人が現れて
「おい!何があった?」
こちらに向かって歩きながら聞いてくる。
「どうも奥さんに最悪な勘違いをされたみたいね……」
女性の言葉を聞いた小岩井父は……
「はぁー」
タメ息を付きながら頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。
「だから早く話せと何度も言ったんだよ。
今日もう店じまいにするから……
秋緒そんな所でしゃがみ込んでないで店に戻れ!
それで、そちらのお嬢さんは?」
「あぁー彼女は息子の友達だよ」
一度しかお会いしたことは無かったけど、小岩井父は私のことを覚えていたらしい。
「小岩井家の修羅場に巻き込まそうな被害者の一人か?」
「なっ……何も修羅場になると決まった訳じゃないだろ……」
魂の抜けたような小岩井父とは対照的に何処か面白がっているようなご主人の発言を聞いていたら……
『もしかしたら、そう心配する程の事では無いのかも知れないなぁー』そんなふうに一人安堵した。
「彼女も良かったら入っておいで」
ご主人に誘われるまま、三人の後に続きお店の中へと入って行く事になってしまった。