絶対やせて貰います。

私が付いて行ってもホントにいいのかな?

そう思いながらも三人に続いて、正面玄関から店内に足を踏み入れ、履いていた靴を靴箱にしまい店内を見回して驚いてしまう。

外観から受ける印象は”田舎のおばあちゃんの家”だったのに……

実際に入って見たら、元の印象を壊さない絶妙なバランスで洗練された雰囲気にリフォームされていたからだ。

色々気に病む事さえなければ……

『あっちこっち動き回って見せて貰いたかったな』

良く手入れされている古民家はその風合いを生かしつつ使い勝手の良さそうなオープンキッチンにリフォームされているからプロの手捌きをカウンター越しに見て楽しむ事もできる。

元々あったモノと新しく取り入れたモノの調和がとれているからなのか違和感を感じることもない。

ずっとそこにあったように見える実は新しいカウンターテーブルには彩り鮮やかな大きな器に盛られた数種類の作り置きされた料理が並べられている。

『あぁー美味しそう』

興味深げに”キョロキョロ”と目線だけ動かして思ったのは……

大人の隠れ家は思った以上に素敵で居心地が良さそうだなってことだった。

「秋緒……息子に連絡して此処に来て貰ったら?」

「・・・」

「あの……私が電話してみます」

先程の旭君の表情に気まずさを覚えるのか?

躊躇している小岩井父に代わって返事をしたら「ありがとう」申し訳なさそうな
表情で言われては、返って私の方が居た堪れない気持ちになる。

旭君に電話して、お店に来て欲しいと話したら「分かった、直ぐに向かうから」
即答されアッサリ切られた。

「直ぐこちらに向かうそうです」三人に向かって旭君の返事を伝えると

「同じ話を何度もするのも面倒だから話しは秋緒の息子が来てからにしよう」

のんびり構えたご主人と緊張している小岩井父が何とも対照的だなって
”ぼぉー”と眺めていたら

「どうぞ……」

お腹の大きな女性がお茶を出してくれた。



< 146 / 305 >

この作品をシェア

pagetop