絶対やせて貰います。
もう一つの理由は商社勤めの時に”結婚と離婚”を経験したから……
結婚の意思の無い自分は初心なお嬢さんの相手ではないと断り続けたのに琴音さんは諦めなかったとも……
友人関係のまま修業時代の辛い時期も励まし合いながら一緒に乗り越え、改めてその人の大切さに気が付いたと話しながら琴音さんを愛おしげに見つめる和田さん。
和田さんは多分うちの両親と同年代な筈だ……
海外生活も長かったから感覚が日本人離れしちゃったのかな?
ラブラブな二人の姿は見ているこっちが照れくさいよ
このお店は和田さんのおばあ様から譲られた家を改築して店舗兼住宅として
半年前にオープンしたそう。
地元に戻った事を小岩井父に伝えたのもその頃だったらしく、
一人お祝いを持って店に顔を出した小岩井父に
「琴音はこっちに知り合い少ないから家族ぐるみで仲良くしてくれな
一度家族全員で食事に来て……
そう言ってあったのに悩み事があったのか?
『あぁーそのうち……』なんて生返事をしたその様子が凄く気になってさ」
その時の事を思い返しながらも和田さんの話は続いて行く……
理由を聞き出そうとしていた矢先(その時はまだ分からなかったそうだが)妊娠初期だった為に立ち眩みで琴音さんが店内で倒れてしまったらしい。
琴音さんは大丈夫だと言い張ったのに……
「僕が代わりをするから今日はゆっくり休んで……
そうじゃないと文雄が店じまいにしてしまうよ」
琴音さんを説得して和田さんの代わりに自宅に付き添って帰り
その日は慣れないながらも一生懸命に閉店時間まで琴音さんの代わりをした小岩井父
和田さんはその時の事を思い出しているのか?
感謝の気持ちを滲ませながら”こいつは良い奴なんだ”と言わんばかりの表情で話してくれた。
『旭君の優しいところはお父さんに似たんだろうなー』そんな事を思いながら話の行く先が気になっていた。