絶対やせて貰います。

「まだ旭君が幼い頃に旭君のお母さん、マリアさんが事件に巻き込まれたらしくてね。

理由は分からないけどその後からマリアさん太り出してしまったらしいの」

「事件……物騒だわね」

小岩井父も旭君も事件の内容までは話してくれなかったし、辛そうな二人に訊ねる様な無神経な事はしたくなかったから何があったのかは分からない。

和田さんのお店を出て旭君はいつものように私を家まで送ってくれた……

長いこと思い悩んでいた事がスッキリと解消出来たからか?

仰ぎ見るほど高い位置にあるその笑顔はキラキラと眩しく輝きお日さまみたいに暖かだ。

小岩井父はマリアさんに全てを話すために家に向かう前に

「旭も同席してくれよー」

藁にも縋る思いなのか?

旭君に一緒に付いて来て欲しそうな素振りを見せる。

「母さんに泣かれようと叱責を受けようと一人で対処して下さい」

笑いを堪えて厳しい態度を見せた旭君。

「分かった……善処します。

こいちゃん、気を付けて帰ってね」

「はい、おやすみなさい」

小岩井父は緊張を隠せないもののとても清々しい素敵な表情をしていた。



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