絶対やせて貰います。

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「ブハッ……なに?

小岩井のお母さんってば天然なの?

アハハ……もう苦しい。

こいが短い着物で部屋を飛び跳ねてる姿が目に浮かぶ

うんうん。

確かに”こい”は小岩井家に幸せをもたらす”座敷わらし”だわ……」

まさかこのヘアスタイルのせいで”座敷わらし”じゃないよね?

カンナちゃんが最近になってバッサリと髪を切ってしまったから

チビでロングヘアを避けている私と同じ位の髪の長さになっている。

二人とも顎のラインに揃えたボブカット……な筈だ。

でも同じヘアスタイルなのに、私だとオカッパ頭って感じなのは何故?

散々笑っているカンナちゃんを見つめながらも頭の中はマリアさんに言われた言葉が渦を巻く。

『ずっーと幸せで居たいから我が家から居なくならないでー』

私だって出来るものならずっーと小岩井家を訪ねたい……

それでも小岩井家に通うのは旭君のダイエットが終わる日までと決めている。

それよりももっと早くに小岩井家を訪問出来なくなる日が来るかも知れない。

それは小岩井家を訪ねる前に心に決めた事があるから……

旭君のダイエットが順調に行けば行くほどに旭君や小岩井ファミリーとのお別れの時も近付いて来るのを感じては虚無感に苛まれそうになる私だった。


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