絶対やせて貰います。
今日は午後から旭君のバイトが入っているから二人して開店直後のスーパーに買い出しに行く日。
出掛ける直前に鈴ばあの冷やかしにあったものだから車に乗り込んでからも二人の間に微妙な空気が醸される。
どちらも口を閉ざしたままの車内で流れる音楽を聴くとはなしに耳にしていた。
いつもならあっという間にスーパーの駐車場に着いてしまい、残念な気持ちにさえなるのに今日はやたらと遠く感じるのは何故なのか?
狭い空間は状況次第で快適にもその真逆にもなり得る事を知って早く広い空間に飛び出したいと思いながら外の景色を見ていたらスーパーの広い駐車場が見えてきた。
いつも旭君は私を出入り口付近で先に降ろしてから車を止めに行く。
「俺たちは若くて体力もあるし、カートでだって運べるからちょっと歩くけどいいよね?」
初めて買い出しに出掛けた日にそう訊いてきた旭君。
一緒に買い出しをする時には必ず皆が避けがちな出入り口からかなり離れた駐車スペースまで車を止めに行くのもその日から変わっていない事の一つだ。