絶対やせて貰います。
「こいちゃんは旭のこと好き?
それとも……
やっぱり唯の友達としか思えない?」
マリアさんが口にした言葉で、
私は蓋をしていた自分の思いと初めて対峙する事になった。
『私はやっぱり旭君が好きなんだ……』と
高3の頃に美術室から初めてその姿を見た時は、
『彫像のような完璧な容姿をした人間がグラウンド狭しと走り回っている。
私の目の前に太陽神が降臨した』そう思った。
でもそれは『アイドル』を崇めるような感覚に近かったし、
貧血で倒れた時に保健室までお姫様抱っこで搬送してくれた時から
『アイドル』が『ヒーロー』へと変わっていった。
それでも偶像を崇拝するような心持ちは同じこと。
私が旭君を好きになったのは……
お母さん悲しませない様に自分が太る事も顧みずにお父さんの分まで食事をする優しさや
私が連絡先を教えないからと拗ねる姿だったり
お父さんの行動を怪しみながらも何も聞けない自分の事を
不甲斐ないと落ち込む姿や
ご近所の皆さんやバイト先の人たちから可愛がられている人懐っこさ
真摯な姿勢で仕事に取り組む姿
ニヤっと笑って先輩に『お灸を据える』そんな悪戯なところ……
考えてみたらどれもこれも容姿とは関係がない、
旭君の内面の魅力に引かれて好きになったのだと気が付いた。