絶対やせて貰います。
「こいちゃん……」
そう言ったきり黙ってしまったマリアさん
切なげな表情をしている所を見ると私は上手く笑えてなかったのかな?
久しぶりに見る笑顔以外のマリアさんを目の前にして、
そんな表情をさせたかった訳じゃないと慌てて言葉を続ける。
「マリアさん……この話はこれでお終いにしましょう」
それからまたゆっくりとハーブティーに口を付ける
爽やかで甘酸っぱくて、でも柚子の皮がちょっとだけほろ苦い……
それは私の恋の結末みたいな味だった。
「そうね。親が口を出すとろくなことがないわよね……
それなら今度は私の話を聞いてくれる?」
どんな話なのかは分からなかったけれど……
「はい」と頷きマリアさんの話し声に耳を傾ける。
「秋緒さんが家族に内緒でダイエットを始めたのは、
上司が太目な体型を自己管理能力の欠如と指摘、リストラをチラつかせて
警告してきた事が原因だったのは……こいちゃんも知ってるでしょ?」
「はい。そう聞きました」
「でもその上司に嫌がらせを受ける様になったそもそもの原因は私なのよ」
真剣な表情でマリアさんが話してくれたのは小岩井父と結婚する切っ掛けになった出来事だった。