絶対やせて貰います。
それから暫くして鈴木のおばあちゃんが旭と光を預かってくれる事になり、向井さんに付き添われて警察署に行く事になった。
「店からの使いでケーキを取りに行くといつも笑顔で迎えてくれるし、
飲み物やお土産を持たせてくれるから奥さんは自分を好きだと思った……」
犯人の供述を聞いて、良かれと思ってしていた事が男を勘違いさせ狂気に走らせたのかとショックの余り愕然とする。
「まぁー犯人が勝手にほざいてる訳だし余り気にしないように……
奥さんが若くて美人だから勘違いしたんだろうから」
そう声を掛けて下さった警察官は、
私を慰める為に良かれと思って言って下さったのだろうとは思う……
でもその言葉が返って追い打ちを掛ける事になり心に深い傷となって残った。
今振り返ると……
会社でセクハラをされたのも、
子供の頃に女の子たちから仲間外れにされた事もこの顔が原因だったなと思い出し人前で微笑む事が出来なくなってしまった私。
家のあらゆる場所にガッチリ鍵をかけて自宅に引きこもり、ひたすらに料理を作る。
そして出来上がった料理を狂ったように食べた。
それを一月も続けていたらあっという間に10kg以上も体重が増えて
以前とは顔つきまで変わってしまっていた。
「これで誰も私を美人とは言わなくなるわ……」
鏡に映る太った自分に満足して久しぶりに微笑んだ瞬間だった。